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中国ライトノベルの春到来?TencentがKADOKAWA中国合弁会社の株を取得 【抄訳】

本記事は、「三文娯」の記事「腾讯收购天闻角川41%股份,轻小说春天到了?」を抄訳しています。

中国国産ライトノベルの躍進は、まだ時間を要すると思われてきた。
9月5日、株式会社KADOKAWAは、香港にある子会社と中国の国有大手文化企業との合弁会社である「広州天聞角川動漫有限公司(天聞角川)」に関して、中国インターネットサービス大手Tencent(テンセント)の関連会社が41%の株式を取得し主要株主となったことを発表した。

KADOKAWAの発表によると、将来Tencentの配信プラットフォームに天聞角川のマンガ、ライトノベルなどの作品を配信する予定。実のところ、昨年Tencentは既にKADOKAWAと戦略的協力関係を構築し、その一環として、天聞角川がライトノベルのオンライン配信権利を輸入し配信するチャンネルを立ち上げた。作品の版権元が日本KADOKAWAになるが、天聞角川は作品の翻訳版版権とプラットフォームの運営権を持っている。

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【 Tencentのライトノベル配信チャンネルのランキング上位の多くはKADOKAWAの作品である】


天聞角川の資本金は3200万人民元(約4.9億円)だが、実際の企業評価はさらに高い倍率で乗算する金額になると思われる。そもそも、ライトノベルは2015年から中国においてホットトピックであり、いくつかのプラットフォームは数千万人民元の出資を得られた。

問題点
ライトノベルの概念が投資先にも注目される一方、市場全体からみるといくつか問題点がある。

まず、中国におけるネット発文学作品の読者は、ほとんど起点(訳注:日本で言うと「小説家になろう」のような小説投稿サイト)や、晋江(女性向け作品投稿サイト)のような投稿サイトに根付いており、これらの既存文学作品プラットフォームは既に多くのユーザーと資金を持っているため、国産ライトノベルを重点に置くプラットフォームにとっては極めて強力な競争相手になる。

また、中国国内のライトノベル読者層は日本のライトノベルコンテンツを主に消費しているが、これらのコンテンツはほとんどKADOKAWAが独占している。TencentとKADOKAWAの提携は新規ユーザー開拓はともかく、既存のユーザーの一部、特に掲示板や「海賊版」出身のプラットフォームのユーザーを吸収して寡占状況を作り出す可能性がある。

そして最後に、中国国産オリジナルライトノベルへの市場の支援がまだ十分とはいえない。例えば、とある関係者がラノベ作家たちの現状を下記のようにまとめている。
「今、中国国産ライトノベルの主力作家は、高校・大学生もしくは社会人になった人ばかりで、作者と読者層の属性がかなり被っている。これは良くも悪くも、新たにライトノベル界隈に参入する人がどんどん増える一方、一部のサイトは読者より作者の方が多く、村社会となっている。
この状況に対して一部のサイトは、契約作者が更新し続けていれば報酬も上がり、作品自体が全部無料であっても報酬が支払われ、読者からの応援金をメイン収入にする方法を取っており、作者も1,000文字30元(500円)前後の収入が得られる。この相場は決して高くないが、学生やアマチュア作者にとっては十分高値と言えるのが現状だ。」

未来
国産ライトノベルの春は来たのだろうか?三分娯は軽く結論づけられない。TencentのKADOKAWA株式取得や、先日掌閲などの大手プラットフォームの相次ぐライトノベルチャンネルとサイトの立ち上げ、投資者の出資先などをみると、いずれもライトノベル市場を楽観視しているといえる。

「投資」は未来への投資であり、ライトノベルのアニメ的な概念が、ある程度将来性を持っているのは明らかである。

しかし、先に述べたように大手オンライン発作品投稿サイトとの競争では、中国国産ライトノベルサイトは独自性を発揮して市場を制するか、それとも技術と資本の影響を受けるか?Tencentはより多くの新規層開拓に成功するか、それともKADOKAWAの助力で既存サイトのユーザーを独占できるか?
ライトノベルの未来はまだ不透明だ。

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