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「ペロリスト」たちと「和諧」(規制)された二次元スマホゲーム【抄訳】

本記事は、「触乐网」の記事「舔屏党”与被和谐的二次元手游」を抄訳しています。

友人A氏は忠実な二次元スマホゲーム好きな人で、彼の流儀として、立ち絵さえ「ぺろぺろしやすい」(立ち絵のクォリティが高いことを指す)のであれば、どんなクソゲーでもやっていけるそうだ。

友達間で彼の話題が出ると、大体「A氏はまたクソゲーをやり始めた。彼は6回も課金したのに良いものが出なくて、そのまま椅子にぐったりして動かなくなったのを見た」、「たぶん彼女に足をボキっされて立てなくなっただろ」といった内容だ。

そして、つい先日A氏がまた筆者に、現在プレイしているクソゲーがもう終わりだと泣きついてきた。「100年やり続けると言ったろ?」と筆者が返したところ、A氏は虚ろな目をしながらボソボソと「いいや…今回は違う…違うんだ…」と言ってきた。

筆者はかなりの時間を要し、やっとのことで顛末を掴んだ。A氏がプレイしているスマホゲームの立ち絵とカードイラストが「和諧」(規制)されたのだ。友人がプレイしているゲームは、『乖離性ミリオンアーサー』と『戦艦少女R』。いずれも中国国内において二次元ジャンルの人気タイトルで、直近のアップデートで新しいスマホゲーム審査基準に合わせてゲームのコンテンツに修正が加えられてしまった。例えば、ゲーム内の英語表記は可能な限り中国語に変えられ、基準に満たない画像は審査に通すように修正された。

f:id:happyelements-pr:20161004164945p:plain       【表記を「New」(右)から「新」(左)に差し替え】


二次元スマホゲームはいわゆる「一般的」なスマホゲームと違い、カード・キャラクターの価値はステータスとレアリティだけで決められるのではなく、カードイラストと立ち絵のクオリティもまた価値を決める重要な要素になりえる。一部の二次元スマホゲームユーザーはカードを追い求めるモチベーションとして、ステータスよりイラスト・立ち絵への希求の方がはるかに強い。彼らはこれらの追求を「画面を舐める」と例え、そして「ぺろぺろさえできればいい」が彼らの口癖になっている。

            f:id:happyelements-pr:20161004165434j:plain

     【「俺が唯一欲しいカードなんだ…」これらのユーザーの心境をよく表す画像】


彼ら「ペロリスト」にとって、カードイラストこそカードの価値を決める存在であり、イラストないし立ち絵への規制と修正はまさに自分の資産「減価」につながるのだ。イラストの修正幅があまりにも大きかったり、修正後のクオリティが下がればこれらのユーザーは極めて大きなショックに受けるだろう。f:id:happyelements-pr:20161004165941p:plain【A氏いわく「元は単に露出度が高いだけだったが、修正後は服の上から下着をつけている変態や」】


A氏は今回のゲーム立ち絵修正を「倒産」だと例えた。彼にとって、これらゲームのカードイラスト・立ち絵がこのままなら、もはやこのゲームをやる意味がなくなるという。

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【「失望極まりない。もうどうでもいい」ユーザーがtieba、weiboなどのSNSで失望の意を表した】


もちろん、ユーザーのこういった需要はメーカーも百も承知だ。『戦艦少女R』は先日2.7.0バージョンでキャラクターの立ち絵を修正したが、そもそもそれは初めての修正ではなかった。実は2.3.0バージョンで既に一度修正が加えられている。ただしその時の修正はまだ歴史に関係する日本戦艦の名前と、一部の立ち絵のみに留まったものだった。先日アップデートされたものに関しても、一部の人が奇妙な「修正復元」のやり方を知っているとの噂が流れているが、あくまで噂程度のもので、本気で信じてはいけない。

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                              【『戦艦少女R』修正後(左)と修正前(右)の立ち絵】


今回『戦艦少女R』がすべてのクライアントファイルに対し強制修正を加えたのは、実に中国がゲーム企業のコンプライアンスを重視しているということをよく表している。もちろん前記のように、一部ではゲームにハマったユーザーが奇妙な方法で規制を回避できたという噂が流れているが、それはあくまで噂でしかない。噂を流すユーザーもおそらく「ハマりすぎ」たからそういったことに走った輩ではないだろうか。筆者がlv17のアカウントで試してみたが、噂はデマにすぎなかった。規制を回避する方法なんて存在しないのだ。

逆に百歩譲って、仮に一部のユーザーがこういった奇妙な「チート技」で規制を回避したとしても、それは一時的なことでしかなく、永遠に通用するものではない。ただ、『乖離性ミリオンアーサー』と『戦艦少女R』のような長く運営されている二次元スマホゲームに関しては、多くの審査基準を満たさないイラスト・立ち絵が既に広くユーザーに受け入れられているため、基準に満たすように描き下ろしたところで、修正と同じ結果に辿るだろう。

一方、噂になっているこの「チート技」がネタとして二次元ユーザーの間で楽しまれるようになっている。問題が起きて間もないうちに『乖離性ミリオンアーサー』ユーザーも「チート技」の研究を始めた。

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【ネットで流れる『乖離性ミリオンアーサー』イラスト規制回避のやり方:

「とにかく課金ボタンを全部押してみようぜ!」】


友人A氏は、「チート技」を試してみたが、見事にデマだった。筆者がこの記事を書き終えた時、彼はもう日本サーバーに移住したという。

 

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