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中国コンシューマーゲーム市場:コアゲーマーを捨てるべきか?【抄訳】

本記事は、「GAMELOOK」の記事「中国主机游戏市场或应放弃核心玩家」を抄訳しています。

中国市場が最も人を惹きつけるところは、ローカル的な特徴だと言えよう。このローカル的な特徴の前に、国際市場において大手企業のビジネススタイルは、中国のローカルルールに従わざるを得ない。また、多くの中国現地企業がローカル的特徴によって成長を果たしてきた。

海外で既にに安定したビジネスでさえ中国で地盤を築くことすら叶わず、進出しただけで撤退に追いやられた。DVDレンタルや、コンシューマゲームもまた然りである。

 

コンシューマーゲーム:映画並に熟成したエンターテインメント

PCゲームに慣れ親しんだ中国市場と違い、世界規模で見ると、モバイルゲームが近年大幅な成長を遂げたにも関わらず、コンシューマーゲームは今もなお約32%のシェアを確保している。その理由は二つ考えられる。

まず、20世紀の1970年代末~90年代初頭、アメリカはアーケードゲームの黄金時代と呼ばれる時代で、ゲームに対するイメージが定着した――ボタン+コントローラー操作=「ゲーム」だ。

実際、当時のコンシューマーゲーム機は、アーケードゲーム要素を取り入れ、ユーザーが家庭でもアーケードゲーム体験ができるよう注力していた。

また、各ゲームメーカーのゲーム業界全体に対する開発環境サポートも無視できない。

ゲームメーカーはハードを作るが、そのハードの集客する力は独占ゲームから由来する。メーカーは自社開発チーム、数多くのデベロッパー、スタジオを支援してきた。例えば、「メタルギアシリーズ」を生み出したコナミと「アンチャーテッドシリーズ」を生み出したNaughty Dogは、メーカー独占タイトルの開発実績がある。また、製品ライフサイクルの長い性能設計と海賊版の少なさから、コンシューマーはゲームデベロッパーにとって比較的に友好的な開発環境を提供している。

独占ゲームもまたデベロッパーとパブリッシャー(メーカー)がPC・モバイルと競争する上で強力な武器になっている。(※)(※コンシューマーとPC両方で遊べるゲームの場合、ユーザーは大体PCで遊ぶ方を選ぶため、独占<コンシューマーでしか遊べない>にすることで自身の優位性を持てるようにしている。)

数十年の発展を遂げたコンシューマーゲーム業界は既に産業ラインを完成させた。コンシューマーゲームの売上は、一部プラットフォーム(メーカー)、ゲームデベロッパーそして小売それぞれの利益となる。これは中国の「売上より投資誘致重視」の状況と比べて健全な産業と言えよう。

 ※独占ゲーム(タイトル)とは、ある機種(ゲーム機種など)でしかプレイできないゲームのことを指す。例)PC独占ゲーム、モバイル独占ゲーム

 

中国におけるコンシューマーゲーム

一言にまとめると:運だけが足りなかった。

コンシューマーゲームが中国に進出したのは遅かったわけではない。全盛期の80年代頃から当時世界中でブームとなっていたハードウェアは、値段こそ高かったものの中国でも既に販売開始していた。またファミコン(海賊版)が市場に出回った後、「魂斗羅」「スーパーマリオブラザーズ」といったタイトルが中国において一世代の人々の記憶に刻まれた。

しかしながら、中国で「ゲーム」という言葉自体が原罪となっていたようで、21世紀に入る目前、15年にも及ぶゲーム機販売禁止令によって中国ユーザーたちは、コンシューマーゲーム(時代)と隔絶されてしまった。

2015年禁止令が解除されると、一部の人々は涙を流し、「ついに中国にもコンシューマーゲームの春が来た」と讃え、また一部の人々が五里霧中となった――コンシューマーゲームとは一体何なのか?と。

そしてコンシューマーゲームは何とも言えない状況になった:PS4とXbox neが中国でPS4とXbox Oneが公式販売され、2年間売れた台数は合計50万台にとどまった。

 

中国ユーザーに刺さらなかった要因

 中国ユーザーのコンシューマーゲームに対する反応が薄いのは、主に下記の原因が考えられる。

機能が単一。中国の青少年にとって、「ゲーム」をするための「ゲーム機」を両親に買ってもらうのは相当難しい――携帯は他人との連絡手段に、PCは検索手段になる。しかしゲーム機はゲームをする以外の機能がなく、両親を説得するのは一苦労だ。

 若者の余暇時間を圧迫してしまう。18~30歳の中国の若者は、通勤に多くの時間を費やし、生活空間が寮か賃貸である彼らにとって、地下鉄で遊べるモバイルゲーム・会社で遊べるブラウザはより手軽で便利だ。

ハードウェア購入必須というハードル。オンラインゲーム時代、中国が最初に独創したゲーム無料・アイテム課金制は浸透しており、ゲームをする目的はコンテンツではなくコミュニティにおける地位(レベルランキングやギルドリーダーなど)を求めることが目的とされてきた。しかしゲーム内の地位を求めるユーザーにとって、コンシューマーゲームを十分に楽しむにはハードルが高く、ゲーム内でプレイヤー同士のコミュニケーションが取りづらい。求めるものがそもそも違うのだ。

 

中国コンシューマゲームメーカーへのアドバイス

中国市場の特徴に直面する際に、発想の転換が役立つかもしれない。

①コアゲーマーを諦める?

「ウィッチャー」「エルダースクロール」を語りたがり、時間と金銭両方に恵まれるコアゲーマーを諦めよう。中国本土のメーカーに充分な力がついていない状態で、ソニーやマイクロソフト、任天堂に慣れしたしんでいる彼らに媚びない方が良い。

ネットサーフィン機能がつけているテレビが流行っている今こそ、エンターテインメントがお茶の間に戻ってくる。いきなりコアゲームからではなく、子供や高年層、女性にうけの良いカードゲームやカジュアルゲーム市場から入り、ソニーやマイクロソフトを相手に争うより、時間つぶしにドラマを見ている先に挙げた層からせめる方が得策である。

②課金システムを変えよう

中国の特徴に適応するよう、「売上より投資重視」を試してみるのはいかがだろうか。前出のネットサーフィン機能付きテレビと同梱販売し、ゲーム機ではなく、ゲームも遊べる外付けデバイスだとアピールすればいい効果が出るかもしれない。また、ゲームに課金したくない中国ユーザーにとって、月パス仕様の方が受け入れられやすい。

③オフライン施設に浸透させよう

昔学校前にある、人民元5元(日本円で約80円)で一時間遊べるゲーム機レンタルを覚えているだろうか?コンシューマーゲームは今数多くの多額課金ユーザーはまさに当時の感覚を再び体験することができる。コンシューマーを中国でもっと売りたければ、このやり方はチャレンジしてみる価値はありそうだ。各地でVR体験が施設されるなど、VRブーム到来の今、このブームに乗るのも1つの手かもしれない。

④開発者へのサポートをお忘れなく

広く浅くコンテンツを展開しても独占(ゲーム)にすることを疎かにしてはいけない。優秀な独占タイトルは中国のコンシューマーゲーム市場を変える可能性もありうるのだ。

カジュアルゲーマー向けにしても、モバイルゲームからコンシューマーでも遊べる移植作を出すだけではいずれモバイルゲームに客が奪われてしまう。より良い開発環境を作り、より良いコンテンツを出すようにすることこそ正しい道だ。

カジュアルゲーマーを重んじることがあっても、やはり最終の目標はコアゲーマーだ――中国映画がそうした段階に到達できたのに、中国ゲーム業界はできない道理はどこにもないのだ。(※)

(※)中国映画がここまで発展した過程には、ハリウッドなどと直接競争するのではなく、まず「自国特有な伝統芸能系のパロディ」「武侠」「チャイナ伝奇物」から集中的に制作し地盤を固め、その後に先に挙げたジャンルから資金大規模投入して有名シリーズ、“Made in China”の名作を誕生させてきた。本記事中のゲームメーカーに薦めた「まず地盤固めにカジュアル」「その後独占としてコアなゲームを投下して世界と闘う」と同じメッセージ。

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